(元)親

父親の父親

今は嫌いだ、それは自分が成長し物事を判断できるようになったからだ

子供の頃何度か会った事がある

飛行機を使わないと会えない場所に住んでおり、また両親と不仲だったため交流が少なかった

妻と離婚し、自宅の敷地で解体業を営んでいた

敷地内にはスクラップされた自動車が山積みになり、足元はガラスの破片ばかりで夜になると月明かりで一面キラキラと光っていた

家は古く汚く埃っぽい

一度キッチンを覗いたが使い込まれた食器や鍋が散乱し

「おじいちゃんが作ったものだよ」と見せてもらった汚い鍋の中には、お湯に人参や大根が大量に茹でてあった…ようにしか見えなかった。なんせ香りもなければ汁らしき物に色もついてなかったので、スープにも見えず。人参なんて半分にしか切られていないので「このままかぶりつくのか?」と思っていたら「食べるか?」と言われ、こんなの孫に食べさせるなよと心の中で言いつつ速攻で断った。

家事においても不器用なのでお手伝いさんを雇っていたが、遊びに行くたび会うので長い事そのお手伝いさんをおばあちゃんだと勘違いしていた

そんな交流の少なかった祖父と思い出深い出来事がある

きょうだいの進学に困った親が、金銭的余裕のある祖父へお金を無心するよう私に頼んできた

なんでも疎遠になっていた祖父が「孫の為ならなんでもする」と話した事があるらしい。しかし両者の人間性を知っている私には口から適当な事を言ったヤツと、1%でも借りられる可能性があるなら無心するヤツの両者信頼のカケラも無い話にしか思わなかった。が、当時の私に断ると言う選択肢は無いので、仕事の休憩時間に初めて祖父へ電話した

「もしもし、◯◯の娘の◯◯です。覚えていますか?」と祖父への電話としては辿々しい口調で、まずは私の事を覚えているか確認する事から始めた。すると少し間をおき「おー◯◯か、元気にしてたか?電話ありがとうなー」と馴染みの薄い声が聞こえてきた。

そこから簡単に近況報告をしさっさ本題へ「今日はお願いがあって…◯◯が今度大学へ入学するんだけど…前におじいちゃんが何かあったら支援するからって話があったとかで、少しお金借りられないか聞けってお母さん達からお願いされたんだけど、どうかなって」とオレオレ詐欺のような会話になる

すると思ってもいなかったが「いいよ」と言われたのだ

しかーし、私の話が良き話としてすんなり終わる訳ないとお分かりだろう

「きょうだい(私の)皆でおじいちゃんのところに来て三つ指ついて土下座しなさい。それなら貸してあげるよ」

職場の裏口、車が行き交う中でもはっきり聞こえた

老人め、私がどう出るか楽しみだったろうが「ならいいです」と即電話を切り職場へ戻った

お金は借りられず、母からは「ちゃんとお願いしたのか?」と注意され

クソな祖父とクソな親の間に挟まれ、もう私が工面するしかないのかと諦めた

のちに祖父はアパート経営を始めた

さて私と夫には夢があり、孫が出来たら可愛がって甘やかし、お小遣いをあげる事だ

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